桃の花は薔薇科に属するのです
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見られてしまった。気づかれてしまった。嫌な感情ばかりが三成の脳裏を駆けていく。相手の姿がはっきりと悟れる距離で、水に漂う三成の姿が目視できぬはずもない。
「此の様な場所で何をしている」
官兵衛の声が凛と響く。それは将である自分が水を浴びていることか、それとも女が戦場にいることに対する不自然さか。どちらにしろ、官兵衛の瞳には濃い非難の色がある。何でも良い、まずは彼の非難に対抗しなければ、と口を開いたところで、横からもうひとりの軍師が声を挟ませた。
「何って、官兵衛殿。見てわからない? 水浴だよ水浴」
「その様なことを尋ねているわけではない」
「その様なこと、だよ。此処で石田三成が水浴びをしていた。ね、そうでしょう?」
にこり、とまるで邪気のない笑みを浮かべながら、半兵衛が言い切る。秀吉の頭脳ともいえる立場の片割れだ。その裏に隠された意図があるだろうが、現段階では片鱗すら見えてこない。彼の一見、親切とも擁護ともとれる立ち振る舞いを訝しく思いながらも、三成は唯、黙って首肯するのみだ。
「此の様な場所で何をしている」
官兵衛の声が凛と響く。それは将である自分が水を浴びていることか、それとも女が戦場にいることに対する不自然さか。どちらにしろ、官兵衛の瞳には濃い非難の色がある。何でも良い、まずは彼の非難に対抗しなければ、と口を開いたところで、横からもうひとりの軍師が声を挟ませた。
「何って、官兵衛殿。見てわからない? 水浴だよ水浴」
「その様なことを尋ねているわけではない」
「その様なこと、だよ。此処で石田三成が水浴びをしていた。ね、そうでしょう?」
にこり、とまるで邪気のない笑みを浮かべながら、半兵衛が言い切る。秀吉の頭脳ともいえる立場の片割れだ。その裏に隠された意図があるだろうが、現段階では片鱗すら見えてこない。彼の一見、親切とも擁護ともとれる立ち振る舞いを訝しく思いながらも、三成は唯、黙って首肯するのみだ。
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