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桃の花は薔薇科に属するのです
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ナリ♀ナリ。
元就青ルート大坂冬の陣。お市投入。

******************************

― 均等に揃えられた正しい世界で歪んだ私は彼らを嗤う ―


「言いたいこととはそれだけか。……思ったよりも、短いようだな」
そう言って、元就が輪刀を振り下ろす。それで、大谷が絶命する。至極簡単なそれが元就の筋書きであった。
「……っ、なに!」
しかし、月光に鈍く光る刃先を、寸前で取り押さえられる。それと同時に背筋を這い登る嫌な感覚に、元就は身柄を拘束されたのを感じた。
「これは……貴様っ!」
この虫唾の走る感覚に、元就は覚えがあった。闇夜よりも尚暗い、底から這い登る魔手。
お市が虚ろな瞳で元就を締め上げていた。
「ほぅ。これは……第五天に救われるとは、思わなんだ」
この結果には大谷も意外性を隠しきれぬようで、黒い眼を僅かに見開く。その視線の先で、お市はただただ元就の細い首筋に闇の手を絡めていく。
「……貴様、この手を離せ」
「嫌……」
「汚らわし……ぐっ」
更なる圧が加わったのか、元就に苦悶の色が加わる。
「嫌、嫌……ひとりぼっちは嫌」
しかし、お市は元就の頬を魔手で撫でながら、謡うように続けるのみ。
「正反対だから惹かれるの」
「……っ」
「でも、貴女の光は寂しいのね。貴女だけを照らす光。貴女だけを照らして……貴女だけしか、見えなくなるの」
ふふふ、と静かに笑って、じわりじわりと元就の首を絡めていく。
「ひとりぼっちは嫌。闇色さんも、ね。市と一緒」
「ぐ……んっ」
「貴女は眩しいから。光で染めて、闇色さんを殺すの。……そんなの、嫌」
そうして、絡めた手に一気に力を入れる。
その刹那。
「やめろ」
凛と響く、三成の声を聞いた気がした。


→お題配布元:ロメア様(http://romea.web.fc2.com/

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