桃の花は薔薇科に属するのです
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
「殺せ」
そう、命令口調で言うようになったのはいつからだったか。震える体を抱き締めながら、彼女は険しい顔で今日も叫ぶ。
「殺せ殺せ殺せ! 身体を引き裂き、臓腑を引きずり出せ! 鮮血を撒き散らし、惨たらしく首を跳ねよ!」
「それは出来ないな」
感情のまま喚く彼女に、清正は淡々と答える。そうすれば、彼女は瞳に力を入れて睨み付けてくる。
彼女の震えが一層激しくなった。
「何故、出来ぬ! 誰も止めはせぬ! 世に争乱をもたらした、豊臣の家を害した大罪人! 貴様の槍を一突きするだけで、絶命する。あれを悼むものはもう既に世にいない嗚呼誰もだ!」
そこで大きく息を吸った彼女は、赤茶け乱れた髪の隙間から、凛とした眸で言い放った。
「石田三成を殺せ」
そう、彼女は、石田三成は言い放つ。自身を殺せと、かつて大志を抱き豊臣が天下を取るべしと尽力したときのように、その天下を我が物とする内府を討たんとしようとしたときのように。真っ直ぐで純真さを込めた顔で彼女は叫ぶ。
清正にとっては既に聞きなれた言葉であった。彼女だけでない、既に幾つもの声が清正に届く。石田三成を殺せと。
その度に、清正も繰り返す。
「それは出来ないな」
→お題配布先:belief 様(http://be.pandora.nu/)
そう、命令口調で言うようになったのはいつからだったか。震える体を抱き締めながら、彼女は険しい顔で今日も叫ぶ。
「殺せ殺せ殺せ! 身体を引き裂き、臓腑を引きずり出せ! 鮮血を撒き散らし、惨たらしく首を跳ねよ!」
「それは出来ないな」
感情のまま喚く彼女に、清正は淡々と答える。そうすれば、彼女は瞳に力を入れて睨み付けてくる。
彼女の震えが一層激しくなった。
「何故、出来ぬ! 誰も止めはせぬ! 世に争乱をもたらした、豊臣の家を害した大罪人! 貴様の槍を一突きするだけで、絶命する。あれを悼むものはもう既に世にいない嗚呼誰もだ!」
そこで大きく息を吸った彼女は、赤茶け乱れた髪の隙間から、凛とした眸で言い放った。
「石田三成を殺せ」
そう、彼女は、石田三成は言い放つ。自身を殺せと、かつて大志を抱き豊臣が天下を取るべしと尽力したときのように、その天下を我が物とする内府を討たんとしようとしたときのように。真っ直ぐで純真さを込めた顔で彼女は叫ぶ。
清正にとっては既に聞きなれた言葉であった。彼女だけでない、既に幾つもの声が清正に届く。石田三成を殺せと。
その度に、清正も繰り返す。
「それは出来ないな」
→お題配布先:belief 様(http://be.pandora.nu/)
PR
この記事にコメントする